図面・測定の基礎

熱処理の基礎【焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしを図解】

2026年7月6日·読了 2分
熱処理(加熱された金属)のイメージ

熱処理は、金属を加熱・冷却して硬さや粘りを調整する工程です。図面に「HRC〇〇」などと指定されることも多く、加工順序にも影響します。この記事では代表的な熱処理・硬さ・材料・注意点をまとめます。

代表的な熱処理と目的

処理 目的 ざっくりした流れ
焼入れ 硬くする 加熱 → 急冷
焼戻し 脆さを取り粘りを回復 焼入れ後に再加熱 → 冷却
焼なまし 軟化・内部応力除去 加熱 → 徐冷
焼ならし 組織を均一化 加熱 → 空冷

焼入れと焼戻しは必ずセットで行うのが基本です(焼入れだけでは脆いため)。

表面硬化(浸炭・窒化)

  • 浸炭:表面に炭素を入れて硬化。芯は粘りを残す(歯車・シャフト)
  • 窒化:表面に窒素を入れて硬化。変形が少なく高硬度
  • 用途:表面は耐摩耗、内部は粘りが欲しい部品

硬さ(HRC)の考え方

硬さはロックウェル硬さ HRC でよく指定されます。数値が大きいほど硬く、摩耗に強い一方で脆くなりやすいため、焼戻しで粘りとのバランスを取ります。

熱処理できる材料

  • 炭素鋼(S45C など):焼入れで硬化
  • 工具鋼(SK・SKD など):高硬度・耐摩耗
  • 合金鋼(SCM など):強度・靭性
  • ※ 一般構造用鋼(SS400)やアルミ(A5052)は焼入れ硬化には向きません

加工順序への影響とひずみ

  • 焼入れ後は硬くなり、通常の切削が難しくなる → 研削で仕上げるのが一般的
  • 「粗加工 → 熱処理 → 研削仕上げ」の流れが多い
  • 熱処理で**変形(ひずみ)**が出るため、取り代を見込む

よくある質問(FAQ)

Q. 焼入れだけではダメ? A. 焼入れ直後は硬いが脆い状態です。焼戻しで粘りを回復させ、割れにくくするのが基本です。

Q. どんな材料でも硬くできる? A. いいえ。炭素量が少ない SS400 やアルミは焼入れで硬化しません。S45C など炭素鋼・工具鋼が対象です。

Q. 熱処理で寸法は変わる? A. ひずみ(変形)が出ることがあります。だから熱処理前に取り代を残し、後で研削仕上げします。

まとめ

熱処理は「硬さと粘りのバランス調整」。焼入れと焼戻しはセット、仕上げは研削——この流れを押さえると図面の意図が読み取りやすくなります。

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