図面・測定の基礎

シリンダーゲージの使い方【内径測定の手順・コツを図解】

2026年7月10日·読了 4分
内径測定器(測定工具)のイメージ

シリンダーゲージ(ボアゲージ)は、穴の内径を高精度に測る比較測定器です。絶対値を直接読むのではなく、基準器でゼロを合わせ、その基準との差をダイヤルゲージで読むのがポイント。1 台で替えロッドを付け替えれば複数の径に対応できます。この記事では、構成・ゼロ点セット・首振りで最小値を読む手順・真円度確認までを図解でまとめます。

何を測れるか

  • 穴の内径(絶対値は基準器+差で求める)。
  • 深さ方向・円周方向で複数点測れば、真円度や**テーパ(先細り)**もわかる。
  • ノギスの内側ジョウより高精度で、深い穴でも安定して測れる。

構成部品

  • 本体(ステム):穴に差し込む筒。先端に測定子とガイドプレート。
  • ダイヤルゲージ(指示器):基準との差を 0.01mm/0.001mm で表示。
  • 交換ロッド(アンビル/測定子):測る径に合わせて付け替える。
  • ガイドプレート(振れ止め):測定子が穴の直径線上に当たるよう案内する。

手順①:測定子(替えロッド)を選ぶ

測る穴径に合う交換ロッドと替えワッシャを選び、可動測定子の動き代が中央付近になるよう組みます。動き代の端では正しく読めません。

手順②:ゼロ点をセットする(最重要)

基準寸法で指針を 0 に合わせます。基準器は 2 通り:

  • マイクロメーターで合わせる:外側マイクロを測る内径寸法にセットし、その間に測定子を入れて、首振りの最小値が 0 になるよう文字盤(ベゼル)を回す。
  • リングゲージで合わせる:既知内径のリングゲージに入れてゼロを取る(最も確実)。

測定前後で必ず基準に戻し、ゼロずれがないか確認します。

手順③:穴に入れて首振り

シリンダーゲージの首振りで最小値を探す図

図1 — 首振りの考え方。 測定子が斜めに当たると径より長く(大きく)見えます。ゲージを前後左右に小さく振ると、指針は往復して折り返し点=最小値を示します。この最小値が測定子が穴の直径を横切った瞬間、すなわち真の内径です。

手順④:最小値を読む

首振りの**折り返し(最小値)**を読み取り、基準寸法に差を加減します。 例:リングゲージ φ20.000 でゼロ、測定穴で最小値が +0.012 → 内径 20.012mm。

真円度・テーパの確認

  • 真円度:同じ深さで角度を変えて数点測り、最大−最小の差を見る。
  • テーパ:入口・中央・奥で測り、深さによる径の変化を見る。
  • 数点測ることで「1 点では気づけない歪み」を発見できます。

よくある誤差と対策

誤差の原因 症状 対策
ゼロ点セット不良 全体がずれる 基準器で丁寧に 0 出し、前後確認
首振り不足 大きめに出る 必ず振って最小値(折り返し)を読む
測定子・ロッド選び違い 動き代の端で不正確 動き代が中央に来る組合せに
温度・手の熱 μm 単位でずれる 20℃基準、握りっぱなしを避ける
ガイドプレート摩耗 直径線に当たらない 点検・交換

手入れ

  • 使用後は測定子・ステムを拭き、防錆。交換ロッドはセットで保管。
  • 落下・衝撃厳禁。定期的にリングゲージ/ゲージブロックで校正。

他の内径測定器との違い

測定器 精度 特徴
ノギス(内側ジョウ) 中 手早いが浅い穴向き・精度は中
内側マイクロメーター 高 絶対値を直接読む
シリンダーゲージ 高 比較測定・深い穴や真円度確認に強い

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ絶対値を直接読めない? A. 比較測定器だからです。基準器でゼロを取り、その差を読む方式で高精度を実現します。

Q. ゼロ点はマイクロとリング、どちらが良い? A. リングゲージが最も確実。手元にない場合は外側マイクロで代用します。

Q. 首振りで最大値?最小値? A. **最小値(折り返し)**が真の内径。斜め当たりは必ず大きめに出ます。

Q. どのくらいの精度で測れる? A. 指示器の分解能(0.01/0.001mm)と校正状態によります。校正が命です。

Q. テーパ穴も測れる? A. 深さを変えて測れば径の変化(テーパ)を把握できます。

まとめ

シリンダーゲージは「基準器でゼロ→穴で首振り→最小値を読む」比較測定器。ゼロ点セットが精度のすべてで、必ず振って折り返し(最小値)を読むのが鉄則です。深い穴や真円度・テーパの確認に強く、内径測定の主力になります。

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